妊婦さんへのRSウイルスワクチンが定期接種に|2026年4月から公費負担
内科
小児科
公開日
2026.4.29
更新日
2026.6.1

こんにちは!とどろきLAクリニック 小児科医の寺田です。
🌀 産婦人科でRSウイルスワクチンについて聞いたけど、打った方がいいか迷っている
🌀 妊娠中にワクチンを打って、赤ちゃんに悪い影響はないの?
🌀 定期接種になったって聞いたけど、費用はどうなるの?
こうした疑問を持つ妊婦さんは多いと思います。
大切な赤ちゃんのことを思えば、慎重になって当然です。
今回は、2026年4月から定期接種となったRSウイルスワクチンの効果・安全性・接種スケジュールを解説します。
迷ったときの参考に、ぜひ最後までお読みください。
🔸 RSウイルスとは?|赤ちゃんに怖い感染症
RSウイルスは、赤ちゃんに感染すると重症化することがあります。
効果的な治療薬はなく、対症療法が中心となる厄介な感染症です。
2歳までにほぼ100%感染するウイルス
RSウイルス(Respiratory Syncytial Virus)は気管支や肺などに感染するウイルスで
厚生労働省によると、2歳までにほぼ100%の子どもが感染するありふれたウイルスです。
大人には「ただの風邪」程度で済むことがほとんどですが、生後6か月未満の赤ちゃんが感染すると約3割が細気管支炎・肺炎などを起こし重症化することがあります。
効果的な治療薬がないから予防が重要
RSウイルス感染症には、インフルエンザへのタミフル®のような治療薬がなく、症状を早く治す方法がない厄介な感染症です。
治療は解熱剤の使用や鼻汁吸引、酸素吸入といった対症療法に限られます。
酸素吸入は自宅では行えないため、症状が悪化した場合は入院が必要です。
実際に、2歳未満で診断された子どものうち、4人に1人が入院治療を必要とされています。
重症化した場合、回復後も喘鳴(ゼーゼーする呼吸)を繰り返しやすくなることも知られているため、「かかる前に防ぐ」ことが大切です。
🔸 RSウイルスワクチン(アブリスボ®)はどんなワクチン?
アブリスボ®は、妊婦さんへの接種によって生まれた直後から赤ちゃんを感染症から守るワクチンです。
母子免疫という画期的な仕組み
アブリスボ®は、妊婦さんへの接種で赤ちゃんを守る「母子免疫ワクチン」です。
妊婦さんに接種すると体内で抗体が作られ、胎盤を通じて赤ちゃんに移行します。

なぜ生まれる前の予防接種が必要なのか
生まれたばかりの赤ちゃんは免疫機能がまだ十分に育っていません。ワクチンを接種しても、十分に抗体がつくられないこともあります。
さらに、ワクチンは接種してから効果があらわれるまでに2週間前後かかります。生まれてからの接種では、必要な時期に十分な予防効果が発揮できないこともあります。
こうした状況に対応できるのが『母子免疫』という仕組みです。
生まれる前にお母さんの抗体を赤ちゃんへ届けることで、生後すぐの大切な時期を感染から守ることができます。
RSウイルスワクチンは産婦人科だけでなく、内科・小児科でも接種できます。
かかりつけの先生にお気軽にご相談ください。
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🔸 RSウイルスワクチンの効果と安全性
RSウイルスワクチンは、研究によって高い予防効果と安全性が確認されています。
研究が示した予防効果
アブリスボ®の有効性は、世界18カ国・妊婦約7,000人を対象とした研究で検証されました。
生後3か月以内の赤ちゃんで、重症の肺炎や気管支炎を約8割予防できるとされます。

副反応と安全性について
ワクチンの副反応は接種部位の痛み・頭痛・筋肉痛が主です。
赤ちゃんに届けられるのはお母さんの体で作られた免疫抗体のみで、ワクチンの成分そのものが赤ちゃんに影響を与えることはないとされています。
研究でも、先天奇形・早産・妊娠高血圧症候群などの増加は確認されていません。
もし、重篤な副反応がみられたときは、国の救済制度の対象となります。
🔸 RSウイルスワクチンの接種スケジュールや費用
定期接種の概要は次の通りです。
✅ 対象:妊娠28週0日〜36週6日の妊婦さん
✅ 接種回数:1回
✅ 費用:公費負担(詳細は自治体で異なる)
✅ 接種場所:産婦人科のほか、対応する内科や小児科でも接種可能
※東京都では、接種予診票を使用して接種をする場合は無料です。
接種後14日以内に出産となった場合、赤ちゃんへ十分な抗体が届けられていない可能性もあります。
余裕を持ったタイミングでの接種を検討しましょう。
なお、前回妊娠時に接種した場合でも、再接種できます。

🔸 よくある質問(Q&A)
妊娠中にワクチンを打っても赤ちゃんに悪い影響はありませんか?
アブリスボ®は生きたウイルスを含まない不活化ワクチンです。
母親の体内で作られた抗体は胎児に移行しますが、ワクチン成分自体は移行しないとされています。
これまで先天奇形・早産などの明らかな増加は示されていません。
妊娠何週に打つのがベストですか?
定期接種の対象は妊娠28週0日〜36週6日で、この期間であれば公費負担で接種可能です。
海外での接種状況やアブリスボ®以外の予防薬との兼ね合いから、妊娠32週0日〜33週6日での接種がよりバランスのとれたタイミングと考えています。
ただし、妊娠経過は妊婦さんによって異なるため、接種を検討する際は産科主治医の先生にも確認しておくとより安心です。
🔸 まとめ
RSウイルスは、生後6か月未満の赤ちゃんがかかると重症化しやすい感染症です。感染後の効果的な治療薬がなく、対症療法が中心となります。
アブリスボ®は、妊婦さんへの1回接種で赤ちゃんに抗体を届け、生後早期のRSウイルス感染症から守る効果が期待される「母子免疫ワクチン」です。
その高い予防効果から、2026年4月からは国の定期接種にも指定されました。妊娠28〜36週の妊婦さんは公費負担で受けられます。
接種を希望の方はお近くの医療機関へご相談ください。
とどろきLAクリニックでも接種が可能ですので、お気軽にお問い合わせください。
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【参考文献】
Kampmann B, et al. Bivalent Prefusion F Vaccine in Pregnancy to Prevent RSV Illness in Infants. N Engl J Med, 2023, 388巻, 16号, p1451-1464
厚生労働省: RSウイルス感染症
厚生労働省: RSウイルス感染症に関するQ&A
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厚生労働省: RSウイルスワクチン
日本産科婦人科学会・日本産婦人科医会: RSウイルス母子免疫ワクチン(アブリスボ®筋注用)の接種の安全性について
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厚生労働省: 予防接種健康被害救済制度について
世田谷区: RSウイルス定期予防接種(妊婦向け)
Fleming-Dutra KE, et al. Use of the Pfizer Respiratory Syncytial Virus Vaccine During Pregnancy for the Prevention of Respiratory Syncytial Virus–Associated Lower Respiratory Tract Disease in Infants: Recommendations of the Advisory Committee on Immunization Practices — United States, 2023. MMWR Morb Mortal Wkly Rep, 2023, 72巻, 41号, p1115-1122