子どもの腕が突然抜けた?肘内障の見分け方と受診の目安
小児科
公開日
2026.7.24
更新日
2026.7.23

こんにちは!とどろきLAクリニック 小児科医の寺田です。
🌀 手を引いたら、急に泣いて腕を動かさなくなった
🌀 脱臼?骨折?すぐ病院に行くべき?
小さなお子さんに突然起こりやすいケガの一つが「肘内障(ちゅうないしょう)」です。
骨折とは違い、医療機関で適切に処置すればその場ですぐ良くなることがほとんどで、後遺症を残すことはまずありません。とはいえ、骨折をしている場合もあり、注意が必要です。
今回のコラムでは、肘内障の見分け方から受診のタイミング、治療、繰り返すときの対策まで、お伝えしていきます。
🔸 こんなときは肘内障かも?
お子さんに次のようなサインが見られたら「肘内障(ちゅうないしょう)」かもしれません。

肘内障とは
肘内障とは、肘から先にある2本の腕の骨をまとめている「輪状靭帯(りんじょうじんたい)」が、正常な位置からずれて引っかかった状態をいいます。
骨が折れる「骨折」や、骨が完全に外れる「脱臼」とは違い、靭帯がずれることで骨の位置が正常な位置から少し外れた「亜脱臼」の状態です。
肘内障になると、肘の曲げ伸ばしはできるものの、手のひらを上や下に向けるように腕をひねる動きができなくなります。また、ひねろうとすると痛みが出るため、お子さんは腕を使おうとしなくなります。
痛がる場所は肘が多いのですが、手首や肩を痛がるお子さんもいます。

起こりやすい時期とシーン
肘内障が多いのは、靭帯がまだ柔らかく橈骨頭がすり抜けやすい、5歳以下です。特に2歳前後によく見られます。
6歳ごろになると靭帯がしっかりしてきて、自然と起こりにくくなります。
肘内障が起こるきっかけは、ささいな動作です。
🔹 転びそうになり手を引いた
🔹 子どもが急に走り出し、腕が後ろに引っ張られた
🔹 服の袖を引っ張った
🔹 寝返りで腕が下敷きになった(乳児)
転倒や転落でも起こり得ますが、この場合は、肘内障だけでなく骨折の可能性が高くなります。
肘内障は、子どもの骨格上、少し引いただけでも起こりうるものです。もし起こしてしまったとしても、ご自分を責める必要はありません。
🔸 肘内障と骨折の見分け方
急に泣いて腕を動かさないとき、親御さんが一番心配になるのは「骨折では?」という点ではないでしょうか。
肘内障と骨折の違いは、次の表のとおりです。
特徴 | 肘内障 | 骨折 |
|---|---|---|
見た目の変形 | ほとんどない | 変形することがある |
腫れ | ほぼない | 時間とともに腫れてくる |
押したときの痛み | ほとんど痛がらない | 押すたびに痛がる |
きっかけ | 手を引く動作が多い | 転倒・強い衝撃 |
肘内障と間違われやすいものに「上腕骨顆上骨折」という肘の骨折があります。上腕骨顆上骨折は、手術が必要になることもあるため、注意が必要です。
肘内障の治療にあたっては、まず骨折していないかを見極めることが大切です。
当院では必要に応じて、レントゲンやエコーを使って、骨折を疑う所見がないか確認することもできます。なお、診察や検査で骨折が疑われる場合は、整形外科へご紹介しています。

このようなサインがあるときは、骨折の可能性が高いため、最初から整形外科を受診されることをおすすめします。
🔸 受診のタイミング
肘内障自体は、緊急性の高くないケガです。翌日の受診でも大きな問題にはなりません。
とはいえ、病院で処置をすると数秒で痛みから解放され、お子さんも元気を取り戻せます。また、肘内障ではなく骨折をしていた場合は受診を急ぐ必要があるため、迷ったら受診しましょう。
病院に行くまでは、次のことに気をつけて過ごしましょう。
✅ 腕を無理に動かさず、そっとしておく
✅ 揉んだり、曲げ伸ばししたりしない
また、肘内障の場合、骨折や打撲のときのように冷やす必要はありません。
🔸 肘内障の治療
肘内障の治療は「整復(せいふく)」という、輪状靭帯を元の位置に戻す手技が中心です。医師が腕をやさしく動かすだけで、数秒で終わります。
整復した直後は、お子さんは痛みの記憶から少しのあいだ腕をかばうことがありますが、10〜15分ほどで動かせるようになることがほとんどです。
きちんと整復できたかどうかは「バンザイができるか」「肩より上に手が上がるか」などを見て確かめます。
これらが確認できない場合は、骨折などほかのケガが隠れていないか、改めて診察や検査を行い、もう一度整復を試みることもあります。また、骨折などが疑われるときは整形外科を受診してもらったり、すぐに判断がつかないときは翌日あらためて再評価を行ったりします。
🔸 肘内障を再発しないために
肘内障は、一度起きると再発しやすいケガです。
およそ4人に1人が再発すると報告されており、複数回繰り返すお子さんも珍しくありません。特に2歳未満のお子さんは、再発のリスクが高い傾向にあります。
しかし、日常生活の中でちょっとした意識をすると、リスクを下げられると言われています。

もし繰り返しても、受診すればすぐに治せるので、心配しすぎないでくださいね。
🔸 肘内障についてよくある質問
ここからは、肘内障についてよくある質問にお答えします。
Q:肘内障を放置するとどうなりますか?
A. 肘内障は、緊急性が高くないケガのため、翌日の受診でも大きな問題にはなりません。
ただ、靭帯が正常な位置からずれていると、その間お子さんは痛みが続き、腕を使えないままです。整復すれば短時間で楽になるので、早めの受診がおすすめです。
Q:親が自分で治しても大丈夫ですか?
A. 肘内障を自己流で整復することは、おすすめしません。万が一、骨折を見逃してしまうと危険なためです。
病院を受診して、適切な治療を受けましょう。
Q:整復後も腕を動かさないのはなぜ?
A. 子どもは、痛みの記憶や怖さから、15分ほど腕をかばうことがあります。
15分を過ぎても全く動かさない、泣き続けるといったときは、整復しきれていないか、肘内障ではなく骨折など他の病気の可能性があります。
🔸 まとめ|肘内障は受診ですぐに治せるケガ
今回は、子どもの肘内障についてお話ししました。
🌀 肘内障かも…
🌀 急に、泣いて腕を動かさなくなって心配…
そんなときは、お気軽にご相談ください。とどろきLAクリニックでは、小児のけがのご相談に対応しており、肘内障の整復も行っています。
少しでも参考にしていただければうれしいです。
では、次回のコラムもお楽しみに!
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