とどろきLAクリニック - 内科・小児科・外科・皮膚科

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W杯観戦が血圧・心臓に与える影響は?最後まで楽しむために。 

  • 内科

公開日

2026.6.1

更新日

2026.6.1

こんにちは、とどろきLAクリニック 院長の漆畑です。

私も好きなサッカー観戦ですが、一見すると「観るだけのスポーツ」と思われがちです。でも、強い興奮や緊張によって、実は体にとっても大きなイベントになることがあります。


🌀 ゴールの瞬間、心臓がドキドキしすぎて少し心配になる

🌀 W杯(ワールドカップ)の時期は寝不足や飲みすぎが続きそう、体は大丈夫かな?

そう思っている方もいるのではないでしょうか。

W杯は選手だけでなく、応援する側にもエネルギーが必要になります。4年に一度の大舞台を最後まで楽しむためには、ちょっとした体の準備が大切です。

そこでこの記事では、観戦中に体の中で何が起きているのか、そしてW杯を安心して楽しむための工夫を、やさしく解説します。

🔸 サッカー観戦中、血圧や心臓には何が起きている?

 

ゴールの瞬間やPK戦、試合終了間際の場面で、心臓が早鐘を打つようにドキドキした経験はありませんか?

応援する私たちの体の中でも、実はさまざまな変化が起きています。

興奮や緊張で、体が戦闘モードになる

興奮や緊張によって、自律神経のひとつである「交感神経」が活発になります。すると、心拍数や血圧が上がりますが、多くの場合は一時的な変化で落ち着いてきます。

ただ、もともと血圧が高めの方や動脈硬化が進んでいる方はそうではありません。
観戦中の興奮で血圧や心拍数が上がると、心臓や血管に思った以上の負担がかかることがあります。 

大きな試合の日には、心血管イベントが増える 

2006年ドイツW杯のドイツ代表戦の日には、ミュンヘン周辺で心血管イベント(心臓や血管に起きるトラブル)による救急搬送が通常時の約2.66倍に増えたという研究結果があります。
特に男性では約3.26倍と、性別による差も大きく報告されました。

また、強い感情ストレスをきっかけに、まれに「たこつぼ心筋症」と呼ばれる心臓の一時的な機能低下が起こることもあります。
悲しみや恐怖だけでなく、勝利の興奮でも起こり得るというのは、意外と思った方もいるのではないでしょうか。

つまり、W杯のような大きな試合は、応援する私たちの体にとっても、想像以上にエネルギーを使うイベントなのです。

 

🔸 W杯観戦で、体への負担が重なりやすい理由 

 W杯期間中は、体に負担をかける要素がいくつも重なりやすいタイミングです。

たとえば、強い興奮や緊張、ついつい飲みすぎるアルコールや塩分の多いおつまみ、深夜観戦による寝不足など、思い当たる場面はありませんか?
下の図に、重なりやすい6つの要因をまとめました。

ひとつひとつは小さな負担でも、いくつも重なれば心臓や血管への影響は大きくなります。

特に、興奮で血圧が上がりやすい状況に、塩分やアルコール、寝不足などが重なると、血圧や体調が普段よりも不安定になりやすくなります。

いつもは平気な方でも、W杯期間中は「いつもより無理が続いているかも」という意識を持っておくことが大切です。

🔸 開幕前に確認しておきたい4つのこと

 W杯は、普段あまり健康を意識していない方にとっても、自分の体を見直すよいきっかけになります。

開幕前に、ぜひ以下の4つをご確認ください。

どれかひとつでも当てはまる方は、開幕前に一度、体の状態を確認しておくと安心です。

特に血圧のお薬を自己判断で中断してしまうと、観戦中の血圧上昇でリスクが高まることがあります。
気になることがあれば、まずはかかりつけ医にご相談ください。

過去の健診結果が手元にある方は、年ごとの変化も一緒に振り返ってみると、ご自身の体の傾向が見えやすくなります。

🔸 安心して観戦するための5つのコツ

 W杯を最後まで楽しむためにできる、ちょっとした工夫を5つご紹介します。

なかでも大切なのは、いつもの血圧・心臓のお薬を飲み忘れないことです。
特別なことは必要ありません。いつもの体のリズムを大切にしながら、応援を楽しみましょう。

また、意外と忘れがちなのが「長時間同じ姿勢で観戦することによる、足の血流の滞り」や「水分不足」です。
ハーフタイムにキッチンへ立つだけでも、ちょっとした気分転換と体のリセットになるのでオススメです。

🔸 こんなサインがあれば、無理せずご相談を

観戦中に、次のような症状があれば、無理に観戦を続けないことも大切です。

  • 胸の強い違和感や圧迫感

  • 冷や汗、息苦しさ、強い動悸

  • 片側の手足のしびれ、ろれつが回らない

  • 強い頭痛が続く

「W杯中だから後で」と我慢しすぎる気持ちはわかります。

でも、症状が強い場合や続く場合は、周囲に相談し、必要に応じて医療機関への相談や救急要請も検討しましょう。

特に、片側の手足のしびれやろれつが回らないといった症状は、脳の血管トラブルのサインのこともあります。
「いつもとちがう」と感じたときは、無理せず早めに動くことが大切です。

応援を最後まで楽しむために、いちばん大切なのは、ご自身の体です。

🔸 まとめ|W杯を全力で応援するために、体の準備も

 W杯を最後まで楽しむためには、応援する気持ちだけでなく、体の準備も大切なことを解説してきました。
私自身もサッカー観戦が大好きなひとりです。
だからこそ、単なる注意喚起ではなく、皆さんと一緒に、無理なく最後まで全力で応援を楽しみたいと思っています。

当院でも、健診結果のご相談や、高血圧・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病の診療に対応しています。
気になる症状がある方だけでなく、「最近健康診断に行ってない」という方も、ぜひお気軽にご相談ください。

▶︎【東京都等々力駅徒歩4分】ご予約はこちらから

 

それではまた、次のコラムで!


【参考文献】

  1. Alah MA, et al. Tackling Stress-Induced Cardiac Events During the FIFA World Cup 2022. Vascular Health and Risk Management. 2022;18:855-863.

  2. Wilbert-Lampen U, et al. Cardiovascular Events during World Cup Soccer. N Engl J Med. 2008;358:475-483.

  3. Polimeni A, et al. The impact of UEFA Euro 2020 football championship on Takotsubo Syndrome. Front Cardiovasc Med. 2022;9:951882.

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