【30代・40代向け】自覚症状がなくても要注意!高血圧・糖尿病・脂質異常症の放置リスク
内科
公開日
2026.6.18
更新日
2026.6.17

こんにちは、とどろきLAクリニック 院長の漆畑です。
🌀「健診の数値は少し悪かったけど、体は全然しんどくないし、まあ大丈夫でしょ」
🌀「30代・40代で生活習慣病って、まだ自分には関係ない話じゃないの?」
そう思っている方もいるのではないでしょうか。
私自身、診察室で同じようなお話を伺うことがあります。
高血圧・糖尿病・脂質異常症は、自覚症状がないまま静かに進んでいきます。
今の「元気」は、病気がない証明ではありません。
このコラムでは、自覚症状がなくても体の中でどのような変化が起きるのかを、わかりやすく解説します。
10年後の自分の健康だけでなく、家族との生活や仕事にも関わる大切なテーマなので、ぜひ最後までご覧ください。
🔸「症状がない」=「安全」ではない──サイレントキラーの正体
高血圧・糖尿病・脂質異常症で症状を感じにくい理由は、血管にじわじわダメージが蓄積される病気だからです。
血管には痛みを感じる神経がほとんどありません。なので、傷んでも「つらさ」が現れにくいのです。
たとえるなら、古い水道管の内側にサビや汚れがこびりついて、水の流れが悪くなるのと近い状態です。
高血圧や高血糖は血管に負担をかけ、脂質異常症では血管の内側にコレステロールがたまりやすくなります。こうした変化が進むと、血管が詰まったり破れたりして、脳卒中や心筋梗塞につながることがあります。

自覚症状が少ないまま進む代表例として、WHOの資料でも高血圧は「サイレントキラー」と表現されています。
日本では、高血圧の方は成人の約3人に1人、推定4,300万人と報告されています。
さらに治療を受けているのは約4割のみで、残りの約2,600万人は未診断のままです。
🔸放置するとどうなる?臓器ごとに起きるダメージ
放置で起こるダメージは、主に脳・心臓・腎臓の3つにあらわれます。まずは下の図で全体像をつかんでみてください。

脳:突然の脳卒中(脳梗塞・脳出血)
高血圧が続くと、脳の血管に負担がかかります。その結果、血管が詰まる脳梗塞や、血管が破れる脳出血のリスクが高まります。
脳卒中は、要介護状態になる主な原因のひとつです。半身のまひや言葉の障害が残ることも多く、命が助かっても、後遺症により仕事や日常生活に影響が出る場合があります。
心臓:前触れなく発症する心筋梗塞
脂質異常症が進むと、動脈の内側にプラーク(血管にこびりつくコレステロールの汚れ)ができます。この影響で心臓の血管が詰まり、心臓の筋肉に血液が届かなくなると、心筋梗塞を起こします。
心筋梗塞は前触れなく起こることも多く、胸の痛みや息苦しさなどの症状が出た場合は、迷わず救急受診が必要です。
腎臓:気づかぬうちに進む人工透析のリスク
高血圧や高血糖が続くと、腎臓の細い血管も傷みます。腎臓は一度機能が失われると回復が難しく、進行すると週3回の人工透析が必要になることもあります。
日本透析医学会の2023年末の報告では、新たに透析を始める原因として最も多いのは糖尿病性腎症で、約38%でした。
🔸30代・40代こそ注意したい「気づかない期間」の長さ
生活習慣病で特に注意したいのは「自覚症状がないままゆっくり進む」点です。
30代前半に高血圧や脂質異常が始まっても、合併症が起こるのは50代・60代というケースもあります。
今のうちに気づかずに過ごしていると、仕事や家庭で忙しい時期に病気が見つかることもあります。入院するとその間の仕事もストップし、生活への影響も避けられません。
とくに、血圧・血糖・脂質の異常が重なると、心筋梗塞や脳卒中などを起こすリスクが高くなると考えられています。
健康診断で再検査と言われた方も、放置せずにぜひ内科を受診しましょう。
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🔸今日からできること・クリニックでできること
ここからは、今日からご自身で取り組めることと、クリニックでお手伝いできることを、分けてご紹介します。
まずは生活習慣から

一度にすべて変えるより、一つだけ変えて続けるほうが長続きします。上の図解にまとめた「減塩・体重管理・運動・禁煙」の4つから、いちばん取り組みやすいものを1つ選んでみてください。
気になるときは、クリニックへ相談を
ひとりで判断するのが難しいと感じたら、ぜひクリニックも頼ってください。
当院でも、血圧測定や血液・尿検査、心電図、超音波検査などで、体の状態をていねいに確認できます。
健診結果をお持ちいただければ、治療が必要かどうかの見極めや、受けておきたい検査のご提案もできます。
「受診するほどかな?」と迷う段階でも大丈夫ですので、お気軽にご相談ください。
🔸よくある質問
Q. 血圧が高めでも症状がなければ大丈夫?
A. 症状がなくても、血管への負担が少しずつ積み重なっていることがあります。
家庭で135/85mmHg以上、または診察室で140/90mmHg以上が続く場合は、一度医療機関へご相談ください。
2025年改訂の日本高血圧学会のガイドラインでは、診察室血圧130/80mmHg未満が降圧目標とされています。
薬を始めるかどうかは、血圧の数値だけでなく、年齢、ほかの病気、仕事や生活の状況も踏まえて、主治医と相談して決めます。
Q. 薬を始めたら、一生飲み続けないといけませんか?
A. 必ずしもそうではありません。ただし、自己判断で中止するのは危険です。
生活習慣の改善で数値が安定すれば、減薬や休薬を検討できる場合もあります。
「若くして薬を飲むと体が弱るのでは」と心配する方もいますが、むしろ合併症が起きてからのほうが、多くの薬と長い治療が必要になります。
薬の種類や量は、自己判断で変えず、主治医と相談しながら決めていきましょう。
🔸 まとめ|「症状がない」と「病気がない」は別の話
今日お伝えしたかったのは、「症状がないこと」と「病気がないこと」は別の話だということです。
高血圧・糖尿病・脂質異常症は、自覚症状がないまま血管への負担が蓄積していきます
30〜40代で生活習慣病を放置してしまうと、50~60代で合併症に繋がることがあります
今の元気を過信せず、まず自分の数値を知ることが第一歩です
私自身、診察室で「もう少し早く来ていれば」という後悔の言葉を何度も聞いてきました。
早めに対策を始めた方が健康を取り戻す姿も、たくさん見ています。
「最近、健診に行けていない」と感じている方は、これを機に、ご自身の数値を確かめてみませんか。
それではまた、次のコラムで!
【参考文献】
World Health Organization「A global brief on hypertension(高血圧の世界的概況:サイレントキラー)」World Health Day 2013
日本高血圧学会『高血圧治療ガイドライン2019(JSH2019)』ライフサイエンス出版, 2019/『高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)』2025年8月発刊
日本脳卒中学会「脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕」/国立循環器病研究センター 脳卒中データバンク
日本循環器学会「急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)」
日本透析医学会「わが国の慢性透析療法の現況(2023年末)」2024年公表
厚生労働省「令和5年 国民健康・栄養調査」
World Health Organization「身体活動・座位行動ガイドライン」2020