溶連菌感染症の合併症|リウマチ熱・腎炎について知っておこう
内科
小児科
公開日
2026.6.1
更新日
2026.6.1

こんにちは!とどろきLAクリニック 小児科医の寺田です。
🌀 溶連菌にかかったけど、熱が下がったからもう薬を飲まなくてもいい?
🌀 のどの症状が落ち着いたのに、関節が痛いとこどもが言い始めた…
溶連菌感染症の症状が落ち着いた後に、まれに発熱や関節の痛み・むくみなどの新しい症状が現れることがあります。
その症状は、心臓や腎臓に影響を及ぼす合併症のサインかもしれません。
そこで、「シリーズ:溶連菌感染症を正しく知る」の2回目として、溶連菌感染症が原因の合併症について解説します。
合併症の症状や、抗菌薬を最後まで飲み切ることが大切な理由を知るための参考にしてくださいね。
🔸 溶連菌感染症で熱が下がっても薬を最後まで飲む理由
溶連菌は、正確にはA群β溶血性レンサ球菌と呼ばれる細菌です。
のどに感染して発熱・のどの痛み・扁桃の腫れなどを引き起こします。
▶︎ 関連記事はこちら「こどもが溶連菌に感染したら?症状・治療・登園・登校再開の目安」
では、のどの感染症である溶連菌が、なぜ心臓や腎臓に関係するのでしょうか。
それは、体が溶連菌と戦うために免疫機能が過剰に働いてしまい、感染したのど以外の心臓・腎臓・関節などに影響することがあるためです。
症状が落ち着いた後も免疫反応が続くことがありますが、特に合併症の一つである「リウマチ熱」は、適切な抗菌薬治療によって発症リスクを下げられるとされています。
熱が下がっても、処方された抗菌薬は最後まで飲み切りましょう。

🔸 溶連菌感染症が原因の合併症を知っておこう
溶連菌感染症の主な合併症は「リウマチ熱」と「急性糸球体腎炎」です。それぞれ性質が異なります。
① リウマチ熱
リウマチ熱は、溶連菌による咽頭炎の約3週間後に発症する可能性がある合併症です。
<リウマチ熱の主な症状>
発熱
移動性関節炎(膝・足首・手首・肘などの大きな関節の腫れ、痛みが移っていく)
皮下結節(皮膚の下にしこりができる)
環状紅斑(皮膚に輪っか状の赤み)
舞踏病(手足が意図せず動く神経症状)
リウマチ熱で特に心配なのが心炎(心臓への炎症)です。
心炎が起きると血液の流れを調整する弁が傷ついて「リウマチ性心疾患」という慢性的な疾患に進展することがあります。
繰り返し発症するほどリスクは高まりますが、初回でも起こることがあるため注意が必要です。
適切な抗菌薬治療により、リウマチ熱の発症リスクを下げることができるとされています。
② 急性糸球体腎炎
急性糸球体腎炎(きゅうせいしきゅうたいじんえん)は、溶連菌性咽頭炎の約10日後に腎臓に炎症が起きる合併症です。
腎臓の中にある「糸球体(しきゅうたい:血液をろ過するフィルターのような部分)」が免疫反応によってダメージを受けます。
<急性糸球体腎炎の主なサイン>
血尿(おしっこが赤茶色〜コーラ色になる)
むくみ(顔・手・足など)
急な体重増加(水分が体に溜まっているサイン)
血圧の上昇
尿量の減少
リウマチ熱とは異なり、急性糸球体腎炎は抗菌薬で発症を予防することはできないとされています。
ただし、発症してしまった場合でも、適切に治療すれば90%以上のお子さんが回復すると報告されています。
気になるサインがあれば、速やかに受診してください。
🔸 こんなサインが出たら要注意!受診チェックリスト
溶連菌感染後または治療後でも、以下の画像にまとめたサインが現れたら医療機関を受診してください。

🔸 溶連菌感染症による合併症を防ぐためにできること
合併症と聞くと不安になるかもしれませんが、リウマチ熱は正しい治療で予防できます。
日常でできることを確認しておきましょう。
「抗菌薬を飲み切る」ことがリウマチ熱予防の鍵
リウマチ熱は予防できる合併症です。
溶連菌による咽頭炎には、抗菌薬を最後まで飲み切ることでリウマチ熱の発症リスクを下げることができます。
「熱が下がった」「のどの痛みが取れた」という状態になっても、処方された抗菌薬は飲み切るようにしましょう。
腎炎は経過観察が大切
腎炎は抗菌薬での予防はできません。血尿・むくみ・体重増加などの腎炎サインが現れた場合は速やかに受診してください。
🔸 よくある質問(合併症の確率・再感染について)
Q. 溶連菌の合併症はどのくらいの確率で起きるの?
リウマチ熱は、先進国では学齢期のこども10万人あたり年間約0.5人、溶連菌感染後の糸球体腎炎は年間10万人あたり約6人程度と報告されています。
過度に心配する必要はありませんが、症状が現れた際は早めに受診しましょう。
Q. こどもだけでなく大人でも合併症は起きるの?
はい、大人でも溶連菌に感染することがあり、合併症のリスクはゼロではありません。
リウマチ熱は特に5〜15歳のこどもに多く見られますが、大人での発症もまれながら起こり得ます。
一方、急性糸球体腎炎は大人でも起こる合併症で、こどもと比べて腎臓の機能が回復しにくいとされています。
大人が「のどの痛み・高熱」の症状を感じたときも、市販薬のみで様子を見ず、医療機関を受診して適切な診断と治療を受けることが大切です。
🔸 まとめ|気になるサインを見逃さないために
溶連菌感染症による合併症のうち「リウマチ熱」と「急性糸球体腎炎」は症状が大きく異なるのが特徴です。
リウマチ熱は、処方された抗菌薬を最後まで飲み切ることで、発症リスクを下げることができるとされています。
一方、急性糸球体腎炎は抗菌薬での予防はできないものの、適切に治療すれば90%以上のお子さんが回復するとされています。
大切なのは、溶連菌感染後に関節の痛み・血尿・むくみ・体重増加などのサインがあれば、速やかに受診することです。
当院小児科でも対応できますので、気になる症状があるときは自己判断せず、お気軽にご相談ください。
このコラムが少しでも参考になればうれしいです。
【参考文献】
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国立成育医療研究センター 溶連菌(A群レンサ球菌)感染症
Centers for Disease Control and Prevention Clinical Guidance for Acute Rheumatic Fever
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